家庭用ゲームにおける”やりこみ”について考えてみます。
「このゲームを俺は”やりこんだ”ぞ!」的な意味で使われる言葉です。結構な昔からあったと思います。
ゲームの遊び方は人それぞれ。”やりこみ”と言えるだけの内容なのかの判断も人によって多少違うと思います。
なんだかもやっとするので、個人的な”やりこみ”の基準となる考えをまとめようと思います。
結論
結論から言うと、やりこみとは以下の要素を含むゲームプレイであると考えられます。
- ゲーム外でプレイヤー自身が設定した目標を達成するプレイであること
- 1.を満たすために「知識」「時間」「技術」のいずれかが過度に必要となるプレイであること
- 1.が通常プレイにおいて必須ではないこと
これらが、「いも的な」やりこみプレイの定義とします。
以下はこの定義付けに至った経緯です。
1.やりこみの具体例から考える
まずどんなプレイがやりこみ足りえるのか。
- コンプリートプレイ(100%、MAX%の達成)
- 制限プレイ(縛りプレイとも。自分で制約を課してクリアを目指す)
- こだわりプレイ(設定した目標のスコアや状態を目指す)
- タイムアタックプレイ(目標達成までの速さを極める)
- スコアアタックプレイ(できる限りスコアを伸ばす)
大体このようになると思います。すべてに共通しているのは「ゲーム外で目標を設定する」という点。
つまり、ゲーム内のミッションとして「コレを達成しろ!」というのは、それだけをクリアしてもやりこみとは言えないということです。
一方で、「コレを達成しろ!(ただしBボタンを一度も押してはいけない)」なら、()内がプレイヤー自身で設定したものであれば、やりこみと言って問題ないと考えられます。
この差が、やりこみとそうでないものの違いと言えそうです。
2.「知識」「時間」「技術」はゲームクリアの3本柱
やりこみと一口に言っても、ゲームのジャンルもやりこみの種類も多岐に渡ります。
その様々なゲームプレイに共通するやりこみの要素とは一体何なのか。
それが「知識」「時間」「技術」の3つです。
- 知識……知っていることで有利になる情報。
- 時間……そのゲームに費やした時間。
- 技術……そのゲームを進めるのに有利な操作技術。
読んで字のごとく。そのままですね。この3つは、ゲームクリアに必要な要素でもあります。
コマンドRPGのボス戦をイメージしてみます。
- 楽な倒し方を知っていれば(知識)時間や技術なくとも勝てる。
- 工夫を凝らして臨機応変に立ち回れば(技術)楽な倒し方でなくとも短時間で勝てる。
- がむしゃらに時間やアイテムをつぎ込んでレベル上げすれば(時間)知識も技術もなしに勝てる。
こんな感じです。
つまり、通常ゲームをクリアするために、3つの要素は最低限必要なものと言えます。
よって、ゲームクリアに最小限必要なだけの苦労と同じくらいの苦労をかけたプレイは、やりこみと呼ぶにはやや足りないと言えます。
逆説的に3要素を必要より多く費やすことが、やりこみの定義として成り立ちます。
3.やりこみは普通のプレイとは違う
普通とは何だ?という話になりますが、ゲームは、ゲームとして楽しませるために、
「プレイヤーが触れなくてもよい、余っている部分」が何かしらあります。
「違った遊び方が経験できる可能性を秘めた部分」とも言えます。
そこを活用するのがやりこみという遊びだと考えています。
なので、必要ないのにあえてやる、というのはとても大事な要素なのです。
以上の3つから、やりこみの定義を設定しました。終わり。
EX.これはやりこみ?
やりこみを定義したところで、具体的なやりこみかそうでないかをいくつか確認してみよう。
Case1.実績、トロフィーのコンプリートは?
大体は、やりこみである。トロフィーの方を例に考えてみる。
まず、トロフィーの取得条件は、ゲームメーカーに指定されている。
プレイヤーは、その条件を自身の目標として設定し、獲得を目指す。
つまり、機械的に組み込まれてはいるが、「ゲーム内」で指定された目標ではない。
よって定義1.を満たしていると考えられる。
次に、トロフィー獲得条件は、基本的にそのためのコストが特別必要である。
ゲームクリア時に必ず達成できるものではないため、定義2.を満たしている。
当然ながらクリアするために必要な要素でもないので、定義3.も満たしている。
ただし、定義2.定義3.を満たさない場合、やりこみとは言えない。
また、メーカー指定でクリア保障がされているやりこみかつ難易度も低い場合がほとんど。
ギリやりこみと言っても良い、くらいの認識。
Case2.チート、TASは?
この2つは混同されることも多いが全くの別物。なので分けて考える必要がある。
まずチート。やりこみ目標をチートで達成するのはやりこみではない。
プレイしなくてもよいので定義2.を満たさないからだ。
次にTAS。こちらは定義的にはやりこみに当たる。
Tool Assist(ツールアシスト)があっても実際の操作はプレイヤーによるものだからだ。
しかし当然ながら、TASとそれ以外では同列のやりこみとして語ることは出来ない。